宮脇俊三「最長片道切符の旅」を読みました。「最長片道切符の旅 取材ノート」
の発売を機に、単行本として復刊されたものです。
取材ノートを読むために本編を初めて読む...という本末転倒な動機でしたが、想像以上に楽しい紙上の旅をすることができました。
この本は、当時の国鉄路線を一筆書きでたどる、北海道から九州までの「鉄道紀行文の金字塔」であります。
旅を思い立ち、最長片道切符を買い、そしてその切符を使って旅をするのですが、特に大きなドラマがあるというわけでもなく、乗車した駅や路線、乗客、車窓の様子などが淡々と綴られています。
私自身、載った事のない路線がほとんどなわけですが、それでも知っている路線に差しかかってくるとなんだかうれしかったり、「一緒に旅をしているかのような錯覚」というのはこういうことか...と思いながら読み進めました。
特別に鉄道ファンではありませんが、学生の頃は「青春18きっぷ」(青春18きっぷ - Wikipedia)をちょくちょく使いました。鈍行で1日かけて遠回りして実家に帰ったり、旅行に行ったり...。この本にも出てくる東海道本線の「大垣行き」も何度か利用しましたし、ドアをあけたまま走る常磐線の「客車」にも乗った事があります。上野から青森行きの「急行」に乗り、青函連絡船を使って北海道に行ったり、(飛び降り禁止の看板があるんですよね)尾道から東京まで延々と鈍行で帰ってきた事もありました...。ほんとうに時間はあったんですよね、あのころは。
ということで、著者と一緒に旅をしながら、自分の過去の鉄道の旅をしみじみと思い起こさせられました。
「最長片道切符の旅」取材ノート 宮脇 俊三 新潮社 2008-04 by G-Tools |
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