高村薫「太陽を曳く馬」

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4103784067太陽を曳く馬〈上〉
新潮社 2009-07

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いつも朝日新聞紙上で楽しみにしている、文芸評論家斎藤美奈子さんの「文芸時評」。今朝は高村薫の「太陽を曳く馬」が取り上げられていました。

私自身は、7月に出た単行本ではなく、文芸誌「新潮」誌上の連載をずっと読んでいました。実は3部作の完結編であったことは、単行本出版時に知り、前作を全く読んでいなかった私にはどうりでわかりにくかった...と思っていたのでした。

しかし、たとえ前作2つを読んでいたとしても、この小説の内容はかなりの難物であったことは確かです。他のシリーズでおなじみの、合田雄一郎が出てくることもあり、当初は警察モノなのかと思って読み始めたのが正直なところなのですが、特に後半のオウム真理教がらみの宗教的な話が延々と続くあたりでは、連載で読んでいるのでこれがどこまで続くのか先が読めず、いったいいつまでこの問答が続くのだろうか...と、読んでいる側にとっても「修行」を強いられているような感もありました。

そのあたりの「辛さ」について斎藤氏は、何事も「わかりやすい物語」に押し込めようとする世の中にあって、「わかりやすさに対抗する物語」と評しており、そうだったのか!と目を開かされる思いでありました。

ということで、前の2作「晴子情歌」や「新リア王」を改めて読まなくては...と、今月から本格的に使い始めた「メディアマーカー - raizoのバインダー」に登録してみました。

読みたい本だけがどんどん増えてしまって困ります。隠遁生活がしたいなぁ。

 

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