青木淳一「ホソカタムシの誘惑」

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ホソカタムシの誘惑―日本産ホソカタムシ全種の図説ホソカタムシの誘惑―日本産ホソカタムシ全種の図説

東海大学出版会 2009-11
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1月の末、日経新聞朝刊の一番最後の頁、文化欄で、「思いまっすぐ、虫追い人」というタイトルの、この青木先生の記事を読みました。青木先生はダニの先生として存じ上げていたのですが...なにやら新しいことを始められたご様子であります。

この本は、青木先生が大学を退官し、これまでのダニの研究生活を終えられ、かつての昆虫少年に戻って「ホソカタムシ」なる超マイナーな甲虫の採集と研究を始められたのだそうです。(なにしろダニは8本足。タコとは違いますが、フツーの昆虫ともちょっと違います。どちらかというとクモのほうに近いわけですね。)

私もまずこの新聞記事で初めて「ホソカタムシ」という甲虫の存在を知り、先生が「ほぼまっすぐな形にほれぼれ」とか「悠然とした姿に気品を感じる」とまでおっしゃっているのを読み、がぜん「ホソカタムシ」のことが知りたくなり、さっそくこの著書を読ませていただいた次第であります。

本の最初はまず「ホソカタムシに関するQ&A」から始まります。ホソカタムシについて何も知らない読者に向けて、まずは簡単な紹介といったところです。どうやら枯れ木の中に潜む小さな甲虫で、菌類やキクイムシの幼虫などを食べているのだそうです。

その後は、筆者とホソカタムシとの出会い、ホソカタムシを追うようになったいきさつ、そしていきなりもう採集方法、標本の作り方などなどの実戦的な話に突入します。そして、なんとも楽しそうな実際の採集のお話やホソカタムシ仲間のみなさんとの交流となり、最後はこの本の半分以上を占める、日本のホソカタムシ図説となります。図説の図も、ほとんどが青木先生自らが描かれた点描画。まさに日本の「ホソカタムシ」のバイブルとなっております。

ダニもそうですが、マイナーなものを研究すると、新種が発見できて、さらにそれに自分で命名できたりもしますし、地味ではありますが、それはそれで楽しそうでもありますね。こんな小さなムシに一喜一憂するオジサマ達も誠にほほ笑ましい!(私は虫屋さんに寛容ですから...)

読み終えて、私も是非実物(ホソカタムシのことです)に会いたくなりました。暖かくなったら、アースジェット(青木先生推奨)で枯れ木を噴霧してみようと思います。

最後に...養老先生の書評のほうが、私の紹介よりも面白いのでご紹介。
今週の本棚:養老孟司・評 『ホソカタムシの誘惑』=青木淳一・著 - 毎日jp(毎日新聞)

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このページは、raizoが2010年3月14日に書いたブログ記事です。

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