今になって「現代思想」2013年3月号の震災特集を読む。

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確か新聞の3月の評論選としていくつかこの「現代思想」2013年3月号の記事が取り上げられていたので、バックナンバーを買ってみました。今更だったのですが、冒頭の菅直人インタビュー意外のところでも読みごたえがありました。

この号の目玉は「官邸から見た三・一一後の社会の変容」で、小熊英二先生の菅直人へのインタビュー記事ということになります。冒頭から小熊氏に「読者に向けて真面目に答えて欲しい」と宣誓させられる菅氏ですが、多少自己弁護的なところはあったけれど、思ったことを素直に語られていたのではないでしょうか。

個人的には、当時の菅首相、ベストの対応とは言えなかったけれど、じゃあ自民党政権だったらどうだろう…と思うと、あれほど極端な危機感は持てなかったでしょうし、東電にもずっと甘かったでしょうから、原発建屋の1つや2つは追加で吹っ飛んでしまったかもしれないと思っています。それは理系的感覚で「放射能の本当の危険性」を(前々から)感じていたからだと思うので、反応の鈍い東電本社にプレッシャーというか喝を入れることができたでしょうし、そういう意味では評価しています。安倍さんだったらどうしてただろうなぁ。

まあそれは置いておいて、その次の「小熊英二・山内明美・木下ちがや」さんの対談は、どうしても東京目線で少し頭でっかち感のある小熊氏とは対照的に、実際に南三陸町を拠点に活動している山内氏の話には重みがあります。南三陸町で問題になっていることとして最初にあげられているのがすざまじいコンクリートの壁と称される巨大防潮堤。漁港の町はどこもみな同じ問題ですね。

その次に出てくるのが、歌津町の漁師さんの「海と漁民と防潮堤」。漁をする側からみても、環境アセスメント無しで巨大な構造物を造ると、漁にも影響が出るのではないか…と心配されています。土建屋さんにはうれしいけれど、漁師にとってはなんのメリットも無いということですね。なにが地域産業の振興なのだろう…。

お次は石巻市と市町村合併した雄勝町の高台移転問題を扱った「復興計画がさえぎる故郷の未来」。市・町の中心部・半島の浜と、状況が全く違う地区を、一律に復興計画としてひとくくりにせざるを得ない状況に、復興の難しさを痛感しました。時間もない、人手もない、細かいことはやっていられない…みたいなところがうっすら感じられます。今後もまだまだ不透明感一杯です。「高台」がかなり不便なところらしいですね。巨大防潮堤が建つなら、海の近くの地域も、多少利用可能になっても良さそうですが…

続いて漁業経済学の先生、濱田武士先生の「創造的復興がもたらす不協和音」。宮城県知事が言い出した、漁港集約化と水産特区のお話です。特に水産特区がどうして問題なのかがメイン。この件に関する報道では、漁協が完全に悪者になっていますが、裏には県側の強引さもあったのかなと。桃浦の漁師さん達としては、純粋に地域に漁業を残したいだけのだと思うのですが…。これからこの先生の近刊「漁業と震災」を買ったところなので、そのあたりはまた詳しく読ませていただきます。

あとは「除染と暮らし」「避難者からの問い」「下から変わる社会」と、フクシマ的内容が続きます。ごめんなさい、このあたりはナナメ読みでした。ここまででかなりエネルギーを使ってしまったということもありますが、だんだんと脱原発色が強くなってきましたので。人間が放射能を完全にシャットアウトできない現状での原発稼働は反対なのですが、放射能に対する過剰反応にはどうも馴染めません。

こんなに科学が発達してきたのですから、もっとなにか画期的は発電方法も出てくるに違いない…といつも思います。運動不足の人は、家で自転車をこいで、家庭用電源の足しにできるとか、夏場に回り続けるPCのファンからも発電させるとか、小さな発電をたくさん集めて大きな力にできるといいなぁ。

最後はちょいと脱線しましたが、そんなことをいろいろと考えさせられた1冊でありました。

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このページは、raizoが2013年4月 2日に書いたブログ記事です。

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