理系の、特に動物にまつわる本をたくさん出版していましたが、復刻版から私が選んだのはタンポポの本でした。ちなみに…どうぶつ社さんの本は、戸田ツトムさんが主に装丁を手がけていらっしゃいましたが、今回の復刻版の装丁も戸田さんによるものであります。
さて内容はと言いますと、日本在来のタンポポを外来種であるセイヨウタンポポが駆逐しているのではないか…という説に疑問を持ち、分布や生育環境を調査したものです。
論文を書籍化しているので、文章が少し難しいのですが、在来のタンポポが減っているのは、セイヨウタンポポのせいではなく、人間が環境を変えていることによるものだったようです。
もともとはヨーロッパ出身のセイヨウタンポポにとっては、日本の気候は過酷な条件ではあるのですが、種を大量に、そして遠くに飛ばすことで、新しい環境で生き残ってきたそうです。そんなセイヨウタンポポは、人間が従来の自然を取り崩して開発した場所(都市公園、駐車場、グラウンド、校庭…など)で、他の競合する植物が少ない場所。新しい場所にやってきて増えていただけだったのでした。
一方在来のタンポポは、セイヨウタンポポと違い、他の個体の花粉を受粉しないと種を作ることができません。そのため、ある一定の範囲で多くの個体が群生している必要があり、人間が環境を変えてしまったことによって、在来のタンポポにとっては暮らしにくくなってしまったようです。
結局は人間…ですね。
最近は外来種と在来種の雑種化がどんどん進んでいるとのこと。ある意味でそれは、外来種が日本の環境に順応しようとしているとも思えますが、在来のタンポポも、純潔を保ったまま生き残って欲しいと願うばかりであります。
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