細馬 宏通「ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史」

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ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史 (新潮選書)

細馬 宏通 新潮社 2013-10-25
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by ヨメレバ
発売当初に書店で見かけてずっと気になっていたのですが、月刊「みすず」の読書アンケート特集を読んで、さっそく買って読んだところです。アメリカのアニメーション映画初期の歴史…というところでしょうか。読んで良かった…私向きでした。

タイトルは、ミッキー(ウォルト・ディズニー)でしたが、ディズニーの話が出てくるのは比率としては意外と少なめ。有名な初期アニメーションが登場し、どんな風にアニメーションの技術や表現が発展して来たのかが解説されています。

ボードビルのショウから発展してきたアメリカのアニメ。「リトル・ニモ」や「恐竜のガーティー」などの古典アニメ、フライシャー兄弟、ハンナ&バーベラ、ベティー・ブープ、ポパイ、ミッキー、ドルーピー、トムとジェリー、バックスバニー…。かつてのアニメファンとしても楽しめました。

ハイデホーおじさん、キャブ・キャロウェイは、かなり前に映画がきっかけで一時期ハマったのですが、ベティー・ブープのアニメと縁があったということで、思わぬところで出会えて驚きました。

もちろんタイトルになっている口笛を吹く「蒸気船ウィリー」の秘密(?!)も明かされます。

ドルーピー、トムとジェリーを作ったMGMのアニメを作ったハンナ&バーベラはもともと好きでしたが、そのアニメに音楽をつけていたスコット・ブラッドリーの話には感心しました。そうですよ、あの音楽もアニメ表現の1つになってましたねぇ。やっぱり初期のトムとジェリーはサイコーです。

最後にはきちんと結論も出てきます。「ミッキーはなぜ口笛を吹くのか」というタイトルは、有名な「ミッキー」で読み手を誘ってはいますが、この本の本題である音声と画像をシンクロさせる手法に関係しています。日本ではアフレコが当たり前ですが、アメリカではあらかじめ音声を録音しておくプレシンクが一般的だそうで、その違いについても文化的に考察されています。

登場する多くの古典アニメはYouTubeで見ることができますよ。実際のアニメを見ながら読むと、さらに理解が深まります!



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このページは、raizoが2014年3月 2日に書いたブログ記事です。

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