町田 徹『電力と震災 東北「復興」電力物語』

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書店で震災関連本なのに表紙に白州次郎?と思って手に取った本。我ながらミーハーです。タイトルからしてフクシマ関連の本なのかなと思ったのですが、しっかりと「東北電力」(フクシマは東京電力ですから)のお話でした。

まずは東日本大震災が起きた時のお話からスタート。女川原発の地震後の状況を中心に,
被災者を受け入れた原発施設の様子や、津波の被害、社員達の初動などが語られます。

そして急に話が展開して、東北電力創業のお話へ。ここで初代会長としての「白州次郎」が登場します。東北電力の誕生までの経緯、初代社長の内ヶ崎、そして白州次郎が会長に就任したワケ、そして東京電力との確執の末に完成した只見川開発までで一区切りとなり、また震災後の話へ続きます。

ちなみに…私は白州次郎が東北電力の初代会長であったことは、全く知りませんでした。白州の影響で、早くからヘリコプターが導入され、道も無いような山間地ではランドローバーが活躍するというエピソードも面白い。

その後は、これまでの東北電力の歴史を踏まえて、復旧から現在までの道のりが語られます。震災直後からの電力復旧では、東北電力の社員、他社の応援社員の皆さんの奮闘ぶりは言わずもがなではありますし、地元の皆さんにも感謝されていることと思います。

女川原発の建設については後半に描かれています。建設までの経緯は比較的さらりとですね。決してお金と引き換えの過疎地対策的なことではなく、地元と共存共栄の上での運命共同体である…との考えのもとで安全対策もしっかり行っているとのこと。防潮堤が高く設定されていた経緯も詳しく語られています。

最後は、復旧とその後の安全対策に巨額の予算を投じた末、苦渋の値上げをするところで終わりますが、最後までそこかしこに「東京電力」とは違うという面が強調されているように感じました。

原発事故以降、「電力会社」というイメージがすっかり悪くなっていますから、汚名挽回といったところかと思います。もともと社員の95%が東北出身という地元率の高い電力会社であり、地元でも最もステイタスの高い企業でもあります。

地元に寄り添った会社「東北電力」の応援本的な印象も受けましたが、東北出身者としては共感できるところも多く、一気に読ませていただきました。原発の是非は別問題として、東北電力さんのことをいろいろと知ることができて良かったなと思いました。

東北電力の営業エリアにお住まいの方にはオススメであります。

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