アララギ第4巻第8号
朝清め
湯本政治
さ庭べの木の葉のゆるゝかそけきに吾下思のふふまれにけり
梅雨はれの苔むす庭に子らがすてし柘榴の花の紅の乏しも
大寺のみ庭に匂ふ菩提樹の香ほのかにも霊やどるらし
筆力
まごろしに眼の前に立つ人呼べば書のうらへに聲あるらしも
あはれはれ(繰り返しの「く」)其手をとりしまぼろしのきえてはかなく書はのこれり
家事難産
子をうむを女のことゝおほに思ひてありし日を悔い心にわびけり
異風
うつそみの人らの家をうばはずばこらし足らずとすさぶあらしか
標のアラゝギ
其根はし黄泉にかよはく其幹はうつそみの世に常はアラゝギ
雜詠
汝がうたふみみずの歌よさ庭べのこのかそけくに遠つ世しぬばゆ
憂とうつ石のみのさきに光る火の刹那もおかず事すぎにけり
一枝はむしになやみて萎ふはに夏の射る日のつれなくもあるか
風かをる此室の内に一人こもり足らふ心に友の上思ふ
☆☆☆
最近は月1回になっている。
しかも連番がずれていたのに気付いて振り直す。
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