成田三樹夫さんは俳優さんです。平成2年に亡くなられていますから、もうかれこれ四半世紀になります。
私はご存じの通り市川雷蔵ファンでしたので、大映の映画をたくさん見ていましたから、特に大映時代の成田さんに馴染みがあります。大映が倒産してからは、他社のヤクザ映画の悪役やテレビドラマで活躍されていました。
強面だけれど、今でいうイケメンとは違うのですが、どこか「男として」カッコイイというか、とても魅力的な俳優さんでした。
成田さんについては、比較的最近書かれたこちらもご覧ください。
稀代の悪役俳優 成田三樹夫の反骨の系譜|佐高 信の「一人一話」|ダイヤモンド・オンライン
この句集を読むまで、成田さんが山形の酒田出身であったこと、東大の理学部に入ったけれど(これはネット情報)、肌に合わないと山形大学文学部英文科に入り直したこと。(でも中退)そして何より読書家だったということを知りました。
そもそも句作をしていたことを意外に思って手にしたわけですが、若い頃は詩作もしていたそうで、現代的な詩的な印象の句が印象的でした。
しかし後半になるにつれ、病中の句となり、その入院生活を想像するに、どうしても切ない気持ちになります。ふー。
最後は、句を書き溜めていたノートに書かれた、読書の記録や詩が抜き書きされているのですが、その読書の幅の広さにまたまたびっくりしました。その読書記録の一部を見ただけでもう大尊敬です。
さすが理学も志したことがあるだけに、理系の本も混じっていて、奥本大三郎先生の虫のエッセイ2冊、梅谷献二先生の「虫の民俗誌」まで!今更ながら親近感がぐっと高まりました。この読書ノートの部分も必見です。
成田さんが、結婚前に奥様に勧めたというハンス・カロッサ。「カロッサも毎日少しずつでも続けて下さい。そして人並外れて誠実な人間がどんな事を考え続けどんな具合に生きていったかを少しでも分かってほしい…」なんてお手紙を出す成田さん、なかなか真似の出来るものではありません。
もちろん私なぞ全く縁もなく、手にしたこともありませんでしたが、これは機会があれば私も少しずつ読まねばと思った次第であります。
まずはこのあたりか?
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