酒井啓子「移ろう中東、変わる日本 2012-2015」:やっぱり中東といえば酒井さんだった。

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発売日前から楽しみにしていた本でした。でも、実際に読み始めると少し難しく、夜に読むとすぐ眠たくなるという睡眠薬効果も。というわけでこの本は、「アラブの春」直後から、昨年のパリ同時多発テロ事件までの期間に、その時々の中東情勢について、中東研究者である著者の思うところも含めて書かれています。

酒井啓子さんの著書は、私が岩波新書をたくさん読んでいた頃に初めて読みました。もうずいぶん前なので、実は内容はすっかり忘れているのですが、とにかく読んで面白かったということだけ覚えておりまして、何年か後に出た岩波新書も読ませていただきました。それ以来のファン(?)であります。専門はイラク研究なのだそうです。

そもそも私はカタカナ名に弱く、必然的に世界史にも弱い。翻訳物のミステリーに苦手意識が高いのはカタカナ名についていけなかったりするぐらいなのですが、この本にも中東各地の組織や人物がたくさん出てきて頭に入らず、読み進むのに苦労しました。

ここ数年の中東関係のニュース、こんなことが起きた…ぐらいは知っていますが、これまでの歴史も含めてそのバックグラウンドが詳しく解説されていて、改めて紛争地の事情の複雑さがよくわかりました。今起きているやシリア情勢やISの存在もしかりです。

そしてタイトル通り、中東情勢がめまぐるしく変わってきたというだけでなく、近年の日本人の中東への関心の持ち方に、酒井さんが違和感を覚えているご様子です。「イスラム」という日本人にとってわかりにくい宗教がどんどん悪いイメージになってきていますし、とにかくISが悪いというだけの受け止めになりがちです。私もそんなところもありました。

でも最後まで頑張って読み終えると、日本と中東の関係がより良いものになって欲しいという酒井さんの強い思いが伝わってきました。やっぱり中東の話は酒井さんだなと、一人納得している次第であります。

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