表紙の若い頃の鶴見さんがとても印象的です。平野甲賀さんの下記文字装丁もステキです。
実をいいますと、鶴見さんの著書は数冊ほど読んだだけで、ほとんど知らないも同然です。亡くなられた頃に2〜3冊読んだ程度で、思想の科学という雑誌をずっと出していた方だという程度の知識しかなく、いったいどういう方なのか、なにをしてきた方なのかよく分かっていませんでした。
そうは言っても私にとってはとても気になる人物だったので、評伝が出ると知ってすぐに予約して購入しました。
後藤新平の孫だということは、他の著書(「まなざし
」)で知っていましたが、子どもの頃の話は思いのほかアナーキーで、中学を卒業していないような話は聞いてはいましたが、ヤンキー的な意味ではないけれど、中学の頃から放蕩息子だったというのには驚きました。でも知性は人一倍ですから、渡米して心機一転猛烈に勉強し、戦争開始によってアメリカからの引き上げ、人殺しこそしなかったけれど、戦争そのものも体験したことで、鶴見さんという哲学者が完成されていきます。
ところどころで著書の引用などがあり、哲学的な話も多いので、読むにも少し苦労するところもありましたが、鶴見さんの戦争や平和に対する考えを知るにつれ、今この時代にこそ、こういう方がいて欲しかった…と痛感します。
著者の黒川さんも、鶴見さんとは関係の深い方だそうで、この本の中にも、デモに参加するためにお父さんに手を引かれた幼少の著者ご本人の写真もでてきます。どこかでこの方の本を読んだなと思っていたのですが、こちらでしたね。
このときも、日高六郎さんのことをろくに知らずに読んだ覚えがあります。
鶴見さんの本は、持っていて未読の本もまだありますし、たまたま最近近所で入手できた本(石巻では鶴見俊輔の著書は、新刊書店でも新古書店でも買えないと思っていました…)もありましたので、この勢いで何冊か読みたいと思います。
そうそう、今年は夏の終わりに鶴見俊輔非暴力Tシャツも買ったんですよ。販売元の編集グループ〈SURE〉さんでは、黒川さんも活動されていることも今回はじめて知りました。こちらから出ている鶴見俊輔さんの詩集も読みたいなぁ。一度、下北沢の古書ビビビで見かけ、買うか買うまいか迷って買わずに帰り、今でも時々思い出して後悔しています。
そこは気を取り直し、来年は非暴力Tシャツをガンガン着ようっと。
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