永井宏「愉快のしるし」:石巻にいても葉山気分

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愉快のしるし神奈川県の葉山にある「SUNSHINE+CLOUD」というショップのカタログのために、永井宏さんが綴たった956の短い文章が詰まった本です。1つ1つの文は短いけれど、数が多いので496ページもあります。でもそんなページ数は全く感じさせないコンパクトな素敵な装幀。

永井宏さんと『愉快のしるし』のこと | 草日誌 | 信陽堂編集室

帯文に「友人のような言葉」とある通り、永井さんが読み手に話しかけてくれているような言葉が並びます。


外は寒いし、家に閉じこもりながら読んだわけですが、読んでいる間は脳内はもう葉山時々ハワイな気分に。そのうちに、永井さんがのような生き方が、葉山のような場所でなくても(石巻でだって)できるかも…という気もしてきました。

いくつか気に入った文もあげますと...

「愉快という言葉をいつも頭に描きながら毎日を過ごしていたい。そうすればどんなことでも、どんなところにでも、きっと楽しいことを見つけることができる。猫だって犬だって、居眠りしたり、駆け回ったりしながら、それで毎日が過ぎて、一日を終える。」

そうですねぇ、こんな世情ではありますが、「愉快」に生きたい。

「愉快なことを発見すること。それが毎日を心地好く過ごすコツ。どんなことかというと、まず本を読むこと。面倒と思わずさまざまな本を読み始めると、やがて文字を読んで想像を巡らすことが楽しくなってくる。そうなれば、その時間を作ることがひとつの楽しみにもなり、自分だけの世界に浸る入り口になって行く。心落ち着く時間を手に入れるということだけど。」

まさにこの本を読んでいて、行ったこともない葉山の町のことをいろいろ想像し、浜辺を散歩しているような気持ちになり、しばしその気分に浸ることができました。これが本を読むことの楽しみ。あぁ、もっとたくさん本が読みたいなぁ。

ちなみにこの本、開くとページの下は30%ほどが余白になっています。この空白を作らずに文を並べたら、もっとページ数が少なく済みそうだけれど、読んでいるうちにこの下の余白って片手で本を持つ指がかかる場所だということに気付きました。本を片手で持っていると、ちょうど親指がページの下にかかるのだけれど、余白なので指に文字がひっからなくて都合が良いのでした。なんだか手にとりやすくてそれも楽しい。

このカタログができた訳、永井宏さんについての文も巻末にあるので、永井さんやお店のことを全く知らなくても大丈夫。

これからも折りに触れてパラパラと開くことになりそうです。(うむむ、オーロラシューズ、欲しいなぁ。)

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