ベストセラーの「スティーブ・ジョブズ」を読み終えて。

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ウォルター・アイザクソン 井口 耕二

講談社 2011-11-05
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ずいぶん前に「スティーブ・ジョブズ」のIとIIを読み終えてはいたのですが、感想といってもなぁ…と、ここには書かずにおりました。いまだベストセラーのランキングに載っているということが、どう考えても驚きですが、これはもうブームなんでしょうね。これもまたそろそろ終わると思いますが。

ということで記憶の薄れないうちに個人的な感想も書いておこうかと。

第1巻までを読んでの感想はこんなところでした。まあ、人物的にはあまりほめられたものではないではなかったので、アップルも追い出されちゃった…というのが前半のあらずじ(?)でしょうか。
「スティーブ・ジョブズ」1巻読了、2巻購入。 - now and then

第2巻以降は、もう成功までまっしぐらですから、華々しい内容が続きます。ビジネス書としてお読みの方は、2巻だけ読めば十分かもという気もするぐらい。後半はアップルに復活するところから始まります。しかし、帯の「本書を読まずして、未来を語ることは出来ない」っていうのは誰が考えたコピーでしょうねぇ。講談社さん、なんだか解ってないって感じがしますよ。

時代は私がベージュのMacを使っていた頃からの話になります。この頃の話になると、公私にわたって自分の使っていたMac達の思い出と、アップルウォッチャーとしての思い出で、リアルタイムに体験してきたことと重ね合わせて読み進むことができました。ベージュMac達のリストラとシンプルな製品ライン、iPod登場、iTunes Store、Apple Store、iPhone…このステップ毎に、なにやら世界がどんどん広がっていったというイメージがありますねぇ。

そんな時代の社内の開発の様子などもチラリと。驚きの製品開発秘話とか、今明かされる衝撃の事実!というあたりはボリュームとしては思ったより少なかったと思います。ジョブズ氏の伝記ですからね。アップルの社史ではないので、もう少し突っ込んだ裏話的なことも期待していたのですが、少し空振り。最初のボンダイブルーのiMacがスロットローディングのドライブにならなかったあたりの話しが面白かったかな。あれは確かに最初からスロットローディングにして欲しかった。トレーがガクガクっと出てくる様子はどうもいただけなかったし。

ただ、ジョブズ氏の、シンプルなインターフェースと外観に関する強い思い入れは相当で、そんなときにまた「嫌なジョブズ」になったりするわけなんですな。ふむふむ。自分が良いと思ったものは、みんなにとっても良いはずだという絶対的自信というのはたいしたものだと思います。ちゃんとそれも当たっているから商品も当たるわけで。

ピクサーがディズニーに買収される話もなかなか興味深かったです。漠然とした外からみた事実しか知らなかったけれど、ジョブズ氏の交渉力が発揮されてこその、画期的な買収だったのですね。私にとっては上下巻通してピクサーがらみの話しは総じて面白かったので、ちょうどピクサー本を読み始めたところです。(出だしがピクサーのハードウェアな時代の話なので、ちょっとつまづいていますが。)

2巻目の後半3分の1がガンになってからの話になります。プライベートの話の比率も高くなりますが、アップルが会社として彼の病状を隠す様子も出てきます。病気の話は楽しくないですからね、結末も分かっているし…。ご家族の話も出てきますが、お子さんの成長ぶりが最後まで見届けられなかったことはさぞ無念であったことでしょう。でも、ここ数年は事業も大成功し、会社として一番良い時期を迎えることができたのが唯一の救いです。仕事も最後まで楽しかったでしょうし。

そして最後の後書きの、ジョブズ氏自身の言葉が印象的です。これまでの自分を分析しています。立ち読みする人はここだけでも是非。

アップルファンとしてはやっぱり読まないと…という義務的な部分もあり、星を5つ付けるほどの評価は出せないかなと思いました。大感動という程ではなかったけれど、下手な本よりは面白かったことは確か。彼の人生がそうさせるのでしょうね。普通の人、とくにビジネス書の延長として読んだヒトの感想も是非聞きたいなと思います。

でもでもやっぱりですね、ベストセラーになるような本は、最終的には私には向いていないなというのが今回の感想でした。

実はですね、日本語版を読み終える前に、米国オリジナル版も本屋さんで見かけて買っちゃったのです。ほとぼりが冷めた頃に、今度はゆっくり原書で読んでみようとは思いますが、果たしてどうなることやらです。

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このページは、raizoが2011年11月21日に書いたブログ記事です。

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