あらためて…鈴木啓志「ゴースト・ミュージシャン ソウル黄金時代、アメリカ南部の真実」

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ソウル評論の大御所、鈴木啓志さん(数々のCDのライナーノーツでお世話になっております)による著書。サザン・ソウルの名門スタジオ「FAME」を舞台にしたバックミュージシャン、しかもライナーにクレジットされていないミュージシャンのお話です。

私もサザン・ソウルのファンではありますが、特別詳しいわけでもありません。ちょいとかじっている程度。出てくるミュージシャンは、シンガーで知っている人は半分程度。そしてバックミュージシャンのにいたっては知らない人ばかり。

とにかく私の苦手なカタカナ名(このために私は世界史や、登場人物の多い海外ミステリが苦手)が、怒濤のように出てきまして、正直言って最初は読むのが辛かったです。

でもです。そんなカタカナ名の方々の一人一人がどうこう言う話ではない…ということが読んでいるうちにがわかってきまして、当時のFAMEスタジオを中心としたサザン・ソウルの構図みたいなものが徐々に浮き上がってきまして、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。

山下達郎氏が「論文みたいなもの」と言っていたのも納得です。鈴木氏の長年の研究による仮説という側面もあり、普通の評伝本やスタジオ物語みたいなものとは少し趣が違います。場所・人物・楽曲など、とりあげられているソースかなりの情報量で、並々ならぬ熱意を持って、このサザン・ソウルを支えた影のミュージシャン達を追った労作でありました。

注釈も見やすく、登場するシングルコレクションのドーナツ盤の写真もあり、巻末にはこの本に取り上げられたゴースト・ミュージシャン関連作品のディスコグラフィーもついていて、資料も充実しています。

読み終えて、これまで以上にサザン・ソウルへの興味が増してしまい、タワレコにかけこんで気になるCDを数枚買ってしまいました。かなりマニアックな内容ですので、誰にでもお勧めできるような本ではありませんが、鈴木氏のサザン・ソウルへの熱意が伝わってきて、とても面白かったです。

この本を買ったときのお話。
鈴木啓志「ゴースト・ミュージシャン ソウル黄金時代、アメリカ南部の真実」〜買っただけで満足してしまってます。 - now and then

ちなみに、同時期に購入したもう1冊のサザン・ソウル関連書籍「アトランティック・レコードを創った男 アーメット・アーティガン伝」は、私にとってはハズレでした。このつまらなさなアーティガンという人物の問題ではないかと思った次第です。

コメント(2)

この本は先日会った友人も高く評価しておりました。
直接本人から購入したと自慢されました。(笑)
私も購入するつもりです。

日本ではサザン・ソウルのファンが多く熱心です。
ただし昔の「FAME」スタジオ等の全盛時に固執する傾向が強いのが気になります。
現在進行形のサザン・ソウルはだいぶイメージの違うものです。
昔で云えばシカゴ系の音に近くなってるかと思います。
日本では神的な存在のオーティス・レディングもほとんど存在感が無いです。
サザン・ソウル全盛の頃に比べるとマーケットはかなり縮小してると思われますが
中身の濃い楽曲は多く個人的には現行のサザン・ソウルをお勧めします。

ついでに、70年代のソウル全盛期の音をお好みの方には
現行のコンテンポラリー・ゴスペルがその音になっておりお勧めです。
一言で云えば、現行の音も聞いてねって話でした。

>ad'さん

コメントありがとうございます!
鈴木氏の思うところを世に伝えたいという気持ちが伝わってきたという意味で
細かいデータ的なところは正直チンプンカンプンでしたが
論として面白く読ませていただきました。
あくまでドキュメンタリーの本とは違うので、タイトルの付け方がどうかなとは思いましたが。

歳を取ってくると、なかなか新しい音に挑戦するのがおっくうになり
おのずとオールドなものに走っております。
最近のR&Bチャートに入るような曲にはついていけないということですが。
なので、ゴスペル系もたまに買ってみたりするのですが、
次は最新サザン・ソウルも挑戦してみます!

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