これまでも暗号解析のドキュメンタリーは好んで読んでいたので、単純にその延長で手にしました。
暗号の本は、サイモン・シンの『暗号解読』が有名で、当時私も夢中になって読みました。日本軍が最後まで解けなかった米軍のナバホ族の暗号通信兵の話と聞いて観た『ウィンドトーカーズ』。今回の本にも出てくるドイツ軍の暗号器「エニグマ」を解析した英国のアラン・チューリングの映画を観た後は、伝記も読んでみたり。
サイモン・シン「暗号解読」と線文字B - now and then
映画「イミテーションゲーム」カンバーバッチが良し。 - now and then
しかし筆者が女性ということで、第2次世界大戦前後の米国社会で、女性たちがどんな立場に置かれていたのかという視点から描かれていていて、たくさんの女性達のなかから選抜されたコード・ガールズたちが、思わぬ仕事を得て、生き生きと暗号を解く仕事をしている姿が目に浮かびました。戦時下であっても、なんだか楽しそうにさえ感じられました。
ですので、ちょっと暗号のしくみのところは難しい(でも暗号が解けるとこちらもうれしい)けれど、それはほんの一部であって、ほとんどはコード・ガールズがどうやって集められ、仕事をし、成果をあげて来たのか、海軍や陸軍の下で女性たちがどう扱われてきたのか、そういったお話でありました。もしかしてこれはジェンダーの話でもあるのかなとも思いました。
ただ、暗号解読の相手はドイツ軍だけでなく日本軍でもあったりして、日本人としてはちょっと複雑な気持ちではあります。彼女達が暗号を解読したことによって、戦争は早く終結したのかもしれないけれど、その攻撃によって多くの日本軍兵士が亡くなった訳ですから。それはもちろんアメリカ兵にも犠牲者はあり、ヨーロッパでもたくさんの兵士が亡くなっていて、つまるところやっぱり戦争はいかんですよということですね…。
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