アララギ第5巻第10号
雜詠
湯禿山
雨晴れし朝(あした)の庭にばせふ葉の巻は伸びたり一夜(ひとよ)十寸(とき)まり
アララギ第5巻第10号
雜詠
湯禿山
雨晴れし朝(あした)の庭にばせふ葉の巻は伸びたり一夜(ひとよ)十寸(とき)まり
アララギ第5巻第8号
短歌雜詠
⚪︎ 湯 禿山
大寺の森をし繁み雨の日も己が世歌ふ百とりのやから
アララギ第5巻第7号
短歌雜詠
湯 禿山
あやめ咲く十代田(たしろた)のみづこのゆふべゆくとも見えずゆれのともしも
アララギ第5巻第5号 その2
雜
たつ雲のこのたゝなはる我むねのいぶきに霧らふ花の灰色
淺間嶺のもゆる此胸行きふきて生ける諸々やきつくしてむ
アララギ第5巻第5号
牡丹
湯本禿山
淡々しく其くれなゐのにほひはも心にしむる牡丹の和葉
春やよひうすくれなゐの和葉もて守れる玉の尊くもあるか
アララギ第5巻第3号
上京
湯本 禿山
物云へばいきも氷るかに人皆が只もだしつゝうづくまりをり
朝日子のかゞよふなべに窓に凍てしいき薄らぎて汽車甲斐に入る
魂合の友の面みるすなはちに百里の望みなから足らへり
送檡弘道師歸国
わくらはに人と相見てたゞどゞろともしむ心わかれかねつも
天雲のむかふす國の遠はろにさかりをりともその心はや
アララギ第5巻第2号
アララギ歌壇
左千夫 選
四疊半裡閑居
湯本政治
うづくまる吾がうしろ影小さき室の壁にみちたりさ夜の靜かに
夕げ終へてほろ醉耳にきく雨のゆく秋ながらさびしくもあらず
ほろ醉の耳になごめる雨の音に小さき室の内つらねむれり
太筆の壁にうつれるその影の太き筆もが吾がふるひ見む
アララギ第5巻第1号
雜 歌
○ 湯 禿山
朝山に雲ふみのぼる見渡しの谷川の音をとほく聞きつつゝ
アララギ第4巻第10号 「信濃号」
心 猿
東の空白〱(繰り返し)にわが骸思に疲れたゞよこたはる
生きのまゝ死にたるむくろ妻子らははやもさめよとひた促せり
こらが手を巻きの八須ば朝風によな〱(繰り返し)揺らぐ乏しかりけり
八千草の花のすがしき妹らを率(ゐ)いて秋をあそばんいや年のはに